ありそうも無い想定で非現実的危機感を煽るだけの安保法制

http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2015/06/post-d27f.html
人気アルファブロガー、最終翁ブログです。
違憲強行だの色々で旗色の変わってきた安保法制についてですが、やたら感情論というか扇情的と言いますか、現実感がないけど煽り感は満点です。
批判されそうで嫌だというなら、内容を少しは批判しにくいマトモなものにしたらいいのに。

安保法制議論では『存立事態』てヤツが長々と議論された訳ですが、ここで与党が出してくる具体例というのにともかくマトモな例が無い、全然ない。そんな非現実的な想定しか出来ないなら、それつまり集団自衛権なんて要らないって証明じゃないのか、てくらい。ホルムズ海峡の掃海とか米軍の補給とか、日本国の存立と言うほど影響のあった件は戦後史でも皆無です。

で、そんな例の一つを最終翁が触れ「自衛官は死を覚悟して防衛するのだろう」とか非常に感傷的表現で煽っています。
中東へ行ったらIED踏んだり、補給隊襲撃で撃たれるかもしれない、といった反対派の想定には触れません。
軍事はリアリズムですんで、どういった事態があり得るか、蓋然性を考慮しなきゃアカンのですけどね。あらゆる事態を想定すべし、なんて言い返す人も偶にいますが、考えつく限りの事態に備えることは不可能、ありそうも無い事態から先に備えるというのじゃ本末転倒です。

で、どういう事態で煽ってるかといえば北朝鮮の「ソウルを火の海にする」ていつもの挨拶みたいなアレです。無慈悲な鉄槌とか毎度宣言しては何もしない国ですが。
ただこれ「可能/不可能」で二分法にすると一応は「可能」ではあります、問題はどういう事態なのか、中身ですけど。

戦争もしてない平時に関わらず、今や軍の燃料・食料すら事欠く有様のザ・失敗国家こと北朝鮮で、何でそんな戦力があるんだよという疑問抱く方もあると思います。
これ、どういう手段なのかといえば、朝鮮戦争時代のお古がそのまま使えるからです。ミサイルとかそういうものじゃありません。

具体的には国境線の当時以来の陣地に、大量の旧式重砲が無数に設置されていて、そこから距離がさほど離れていないソウルに砲撃が届いちゃうんですね。
二次大戦級の骨董とはいえ、冗長化しきった技術なので砲弾の威力や射程はそんなに遜色ありません、今日の野砲に劣るのは精度とか操作性・連射性・運用性等、決まった場所から決まった目標撃つなら充分。
隠蔽陣地の上に細かいのが沢山ある以上、潰せない訳ではありませんが非常に時間を要します。ミサイル等と違って単純で小さい砲弾は迎撃も出来ませんし。
万一全力で使われたら非常に面倒な代物です。

ただ、逆に言うとそれ以上のことは殆ど出来ない、戦力でもあります。それ以外の戦力が拮抗してた当時ならまだしも、今日となっては最期っ屁的に報復が可能という程度の、手元に残ったただ一枚のカードみたいなものです。
数十年間温存され続けてきたソレを、今日明日にもちょっとしたことで首領様が切るかもしれない・・・と思うならちょっと被害妄想入ってるかも。

韓国にしろ在韓米軍にしろ、そういうものが狙ってるのは重々承知の上、首都を動かすでもなく北と対峙してるわけです。
ちっとやそっとのことで発動するものではないと判断してるのでなければ説明付きませんし、両国が何らその事態に備えてない(数十年間)とも考えられません。

実態化すること自体が想定し難いわけですが、集団自衛権派の想定は更に条件を重ねる必要があります。
もしコレ発動したら、北の主要な軍事施設は米韓両軍の近代戦力でボコ殴りに遭うこと必定でしょう。
そういう事態の下で「米軍艦艇が脱出した日本人を移送中、無防備で北に襲撃される」ってどういう状況でしょうね。

そもそも北の首都攻撃は一発撃ったらそこまでなので、極度の不意打ちでなければ使えません。その情勢で日本人が纏まって生存し、集団で逃げ延びる余裕があるのか。
また、韓国内でも南方に逃げれば北は追撃する戦力なぞ無いので、陸上避難の方が現実的でしょう。
海路や空路で帰国するにしろ、北の戦力は恐らく防戦一方なので、攻撃に出る余力は殆ど無いはず。
あったとして、米軍が無防備になるような危険を冒してまで移送艦艇を出すでしょうか、まともに護衛するか、移送を見合わせる(陸上保護)はず。又は北に攻撃能力が無いと判断して、「危険が無いから」普通に運用するか。

だいいち、米軍輸送艦が日本人多数乗船させてて、米軍がおらず自衛艦はいる、てどういう状況ですか。日本人乗船が判ってて護衛してるならソレ個別自衛権でいんじゃね、としか。

ともかく安保法制推進側の想定する『現実的選択』てヤツには、現実に起きそうな事態がまるっきり無いんですよ。無理に無理を重ねて強引にひねり出したような『危機』でも、自衛官が命懸け…とか書き添えておけば一定のシンパシーは得られるようですけどね。
(繰り返すけど、中東に行って新たな危険が増えるとかは構わないんかーいっ?)

カウンターでリバランスできるって…『何に?』

某ニコの中の人のツイートが激しく批判されてた件、
http://b.hatena.ne.jp/entry/twitter.com/kadongo38/status/600787368581337089

これに関しての評価は
「ママが勉強しなさいって五月蝿いからやる気なくなった、みたいな理屈」
ていうコメが最も順当な気がします。

それはともかく、一定数は擁護がいるんだけど、その理屈として「カウンターパートがいるから(一定のリバランスが既にされてる?)」てのは勘違いもいいとこですね。
結局中の人といい、左右対立の押し合いとしか見ていない。
でもね、政治課題ってのは、現実の社会問題であってニコ動内の陣取りゲームじゃないんですよ。

在特が敵視しているのは誰でしょう。しばき隊もいるけど、それは彼等のメインターゲットへの攻撃を制止するからです。
在特と、その攻撃対象、という社会問題に於いて、しばき隊は主プレイヤーじゃありません、第三者です。
在特会が主に攻撃しているのは、単に市井で生活している在日外国人一般、不特定の市民です。

在特が、一方的に無辜の市民を攻撃している。
そこにある課題は、一方的な市民への加害がそこにある、それを止めることでしょ。
制止する奴がウザイとか、そんな話は主要課題のオマケで、メインと比肩する感覚はどうかしてる。

またも安倍総理へ『お手本』を示したオバマ政権

核兵器使用は「壊滅的で非人道的」 日米共同声明を発表』
http://www.asahi.com/articles/ASH4Y0J1KH4XUTFK01R.html

この件、耳にした途端「ああ、そう来たか」とすごく納得しました。
でブクマを見たら、自分の解釈とかけ離れた受容が多くてびっくり。
なんか政権或いは外務省が、米政権に何かを『呑ませた』って感覚で、日本側が得点を上げたみたいな理解がポチポチ散見されますけど、それ本気で言ってるのかなあ。
これまでの外交齟齬の連続を見るに、決して総理に好感を抱いてないであろうオバマ政権が、歴史問題絡みだと逆効果・オウンゴール連発の日本外交に押されて、本意でない宣言をわざわざ出すなぞと考えるなら、・・・世間舐めてるにも程があろうかと。

むしろ理解のヒントとして想起されるのは、総理靖国参拝前に来日した米国務長官らのアレです、千鳥が淵墓苑への墓参。
あれは非常に判り易いメッセージでした。靖国をアーリントン同様と強弁する安倍政権に対し、それは違う、相当施設は無宗教の千鳥が淵だと実演して見せたわけです。
思想的問題があるとはいえ友好国元首へ面と向かって間違いと指摘するのは外交上マズイですからそれは避け、しかし明確にメッセージを暗示したわけですね。
暗示にしちゃ些か露骨でしたが、何せ理解力乏しい総理ですし、実際まあ無視されました。気遣いを示しながら顔を潰された米は、大使館から異例の非難。

今回も同様と思われます。
総理の米議会演説は氏が前々から「(歴史問題の謝罪は)引継ぐけど、同じことを言うなら無意味」とかイミフな詭弁を繰り返したせいで、すっかり「謝罪を明示するか、避けるか」だけに注目点が集中しています。
訪米直前のWSJ記事など、それを示すサインは多々。
で、前日の共同宣言です、ここで米国側が先手を打つのは、前々からの経緯からして自然です。

米国は以前にも例えば奴隷制度への謝罪宣言などを出していますが、無論あれは他国から迫られたとかいう政治的敗北ではありません。むしろ政治的正当性を確保していく手段として、内発的に行われてるわけです。
逆に、安倍内閣はかつて発した謝罪、河野談話等を表向き引き継ぐと言いながら、どうにか覆そうと躍起になっています。そして米欧含む国際的非難を高めるという本末転倒。

今回の宣言でオバマ側は原爆加害の非人道性を認めることで「責任を認め、反省する態度が正当性を確保する。責任否定は正義に反する」見本を示しました。
安倍総理が謝罪、或いは責任の受容をしやすいよう道筋を付けたとも言えます。

以前から「米国が原爆を謝罪しないなら慰安婦や南京もええやん」みたいな強弁がありましたけど、今件でソレは説得力をかなり失いました。
また派生的効果として、勢力伸長と伴に核武装に色気を出している日本の保守に対し「核拡散は米国として認めない」釘を刺したとも言えます。

さて、首相は果たしてこの「お手本」を理解することが出来るのか。
靖国の前例、そして共同宣言インタビューで戦争責任を問われて、やはり言及を避けた点からして、明確なメッセージもまたまた無視されそうにしか思えません。
まあそれで不興を買ったとして、友好国首相の訪米ですから、はっきり叱られるような破目には多分ならないので、外交儀礼受けた点をもって「訪米成功」とドヤるんでしょうけどねえ、総理。

表現規制「反対派」も多分同じような目線で見られてる

http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20150319
絵に描いたような植民地主義が絵に描かれていた(法華狼の日記)

コレですけど、色々典型的と思いました。
http://f.st-hatena.com/images/fotolife/h/hokke-ookami/20150323/20150323135152.png

引用された画像、例えば教育問題のモンペとか、或いは企業関係のクレーマとか、はたまた自称中立さんの語るサヨクとか、そういう方面的な描写ですよね。
で、米軍側はしっかりかわいい美少女で描かれてたりして、決してコレが逆になることはない。

作者野上氏は決してネウヨとかそういう領域の方ではないようですが、この一件に関してはまあ、某車輪氏と大差のないとこへうっかり踏み込んでいます。

で思ったんですが、自民党や推進派から見た場合「 表 現 規 制 反 対 派 」ってのもこの絵と同じに認識されてんじゃね?
彼等としちゃ児ポ規制反対とか『イミワカリマセン』『私たち子供守りたいだけなのに』『たんたんと(規制推進します)』って感覚しか抱いて無いと思うんですよ、多分。
アグネス叩きとか、実際意味不明な言説で戦ってる気の層はそこそこいるわけだし。

安倍政権へのデモとかある度に「何でも反対派ってのはこれだから・・・」とか呆れている人々が、表現規制反対の筋も全て同じ括りで嘲笑して一向構わない、ってなら一貫性だけはあるかもしれません。
そうでなければ、この種の切断というのは廻り回って(そんなに遠い距離はない)自己の首を締めるだけ・・・じゃないとイイんですが。

お前らそれキング牧師とかの前で言えんの?

コレが非常に気になったので・・・一部イイ話っぽく受容されてるけど違うんじゃね。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150305/p2
「俺の爺さんは人間でなかった(奴隷だ)」「奴の先祖は戦わなかった。俺たちは違う」…米空母で黒人と先住民が、日本人に語った重い言葉(月刊「正論」)

一番問題だと思ったのは、ネイティブアメリカンと黒人を対置した以下の基本構図
 ・NAは徹底的に白人に抵抗戦争をして殆ど死に絶えてしまった、でも黒人は命惜しさに奴隷に甘んじた。
 ・日本人もNAも、黄色人種は誇りのために死ぬまで戦う、だから世界で「日本は」尊敬されている。

すごく既視感のあり過ぎる論理展開ですが、ここですっぱり抜け落ちているのが肝心な、米国に於けるマイノリティ権利獲得の流れ。
記事の前提じゃ、まるで黒人が怠惰な何もしない奴らみたいな話になってませんか。
そもそもマイノリティの権利認定の過程には、20世紀中頃の苛烈な 「黒人公民権運動」 があるわけです。
「奴の先祖は戦わなかった。俺たちは違う」
 お 前 ら、そ れ キ ン グ 牧 師 の 前 で も 同 じ こ と 言 え ん の ???
(主に、これを聞いて鵜呑みする人に向けて)

そう、NAの一個人氏が偏見を抱くのはいい、でもソレ読む方がそのまんま、黒人dis観と不可分なソレ受容しちまうのどうよ???
っていう話ですよ。

マイノリティ権利獲得に関しては無論NAも共闘したでしょうが、元記事みたいな杜撰な認識では逆に、公民権運動を主導したわけでもないのに、権利獲得したツラすんな、みたいな言い分さえ成立させようと思えば出来てしまう。
この点、自前で民主的政体を確立できず、敗戦後に米から民主主義と自由を『恵んでもらった』と言われる日本人にはより的確にヒットします。
(もちろん曲論です、元記事同様、そう言われて納得する奴がいたらおかしい)
記事筆者へ語った黒人士官の言葉は、そういう罵倒でなくとも、『自前で権利を獲得した誇り』と解した方が自然ではないでしょうか???


まあ正論記事は何というか、実に典型な正論話法だと思いました、パターン通り。
差別案件を扱うものの、問題発言をしているのは被差別側というのも彼等の大好物、歴史問題で子飼いの外国人に語らせるような。
(海外メディアは無視しても、そういう例外的な個人については針小棒大に持ち上げる)

民権獲得といった民主的、正統的な社会闘争は無視して、ともかく命のやり取りをすれば偉いという価値観、ソレが汎世界的だとの強弁。
(もし記事の見解が正しければ、黒人よりNAの方が評価が高いという価値観が広まっていそうなのに、そういう話はまるで聞かれません)
日本の立場が戦後強くなったのも高度成長以後で、経済力の高さが主因と見た方が余程自然です。

そもそも黄色人種枠でNAと日本人を同一視するなら、もっと立場の近い同人種が半島や大陸にゴマンといるでしょうに・・・。
『俺たち黄色人種はそんなことしない (キリッ)』

殺し合いしてない奴には権利がない、という発想も色々とアッチ界隈でよく見られる発想で、韓国は直接戦争してないから戦勝国ツラすんな、とか。
(それなら自力で民主主義を獲得してない日本は…以下略)
バリエーションとしては先日話題になった、女はガチで潰し合いする社会に出て来るな、男のオコボレを大人しく受け取れ、みたいな話も同根かな。
だいたい、命を惜しまず抵抗するのが尊い、と言う人ら、それを実践した韓国の安重根とかを何て言ってたっけ・・・。

オチとして語られる
『インチキアメリカ人なんかやってねーで、独立戦争しろ』て台詞で涙、というのも何だかねえ。
いや、既に20世紀半ばにやってるわけですよ、権利獲得闘争を、結果も出た。
これ以上奪われた国土を・・・みたいな話になると、日本で言えばアイヌや沖縄が独立国に…ぽい方向になっていくんだけど。
もっと現実的なケースだと、例えばアイルランド独立とか・・・。
独立どころか権利の要求すら否定しがちな正論界隈がシンパシー持っていいもんなのかどうか。
まあ、強烈な反米コンプレックスを抱きながらも、しかし米国の威信に乗っかって国内を抑える右派にとっちゃ、マイノリティの権利とか知ったっこっちやない方向で琴線に響くアンビバレントなのでしょうけど。

電話世論調査の件、一応追記

昨日の追記

「そんな不満なら反論しろよ」みたいな米が幾分見られたので一応書いておきますが、アンケ側は全て自動音声で、番号選択で回答を選ぶだけですから反論も何も、回答者が不満を伝えるような余地は一切無いです。
元々そういうもんで、他の形式は受けたことありません。
これはまあ、調査にあたって細かいこと言ってたら恐らく成立しなくなるので、設問さえまともなら問題にならないかと。(一般的には結果集計と同時に、調べれば判る程度には設問仔細も公開されるはず、・・・多分。まあ結果に比べたら注目度はゼロに近いですけど)

調査主体は「電話世論調査センター」とだけですので、主催する相手方メディア(或いは内閣府等)がどこなのかはその時点では不明。これも回答側バイアスを避ける目的かと。

世論調査自体は一定の信頼性があります。(調査がまともなら)
選挙前の支持調査等では、かなり実際の選挙結果と一致する傾向があります。少なくともネットの情強な方々の見解よりはずっとアテになるという点、2ちゃんねるを席巻した新風大ブーム以来繰り返し実証されてきたのではないかと。
そういう意味で今回は設問が余りに一方的で、逆に違和感が凄かったわけです。

電話世論調査がそれはもう酷かった件

本日午前、電話を取ったら「電話世論調査」でした。
よく世論報道ブクマで、そんなの受けたこと無えよ本当にやってんのか、みたいな話ありますけど、うちは普通に来ます、年2〜3回くらい。
電話取れなかったりしてる場合もありそうですが、固定回線があればそんなとこでは。
で、この質問がそれはもう酷かった、普段ここまでってケースは記憶にありません。
誘導的な質問してんだろ、的な意見もよく見聞しますが、受けた範囲でここまで露骨ってのはホント珍しいです。

お題はこの時期当然『集団的自衛権』。
以下はその内容ですが、何せ起き抜けいきなり受けた会話を記憶で書いてます、細部はアテになりません、大意は合ってると思う。
他にも調査受けた人は沢山いるだろし、結果と同時に設問も恐らく公開されるはず? 違うと言う人は適宜ツッコンで下さい。

1、まずは内閣支持の是非。

2、日本の安全保障状況について。

前置きが長いです。
尖閣東シナ海における中国の活動など、東アジア情勢は大変不安定化しています、とした上で、日本の安全保障状況について。
「不安に感じている」「どちらかと言えば不安に感じている」「どちらかと言えば不安でない」「不安に感じていない」「判らない」の五択。

そもそも安全保障と言うなら、それ以外に国内的な担当組織や権力が逸脱しねえかとか、基地問題とか、歴史問題に発した日米同盟の齟齬とか・・・。
他の切り口が多々あろうと思いますが、前提が極東紛争限定のようにさりげなく誘導。
まあ、これは最近よくニュースになってますし、まだいいです。

3、集団的安全保障について

これの前置きが異常に長い。
「集団的安全保障とは、アメリカなど日本と密接な関係の国が攻撃され日本に重大な影響が考えられる場合、一緒に反撃する権利のことです」
・・・・・違うんじゃね???
ていうか、どこまでがそう定義できて行使していいのか、そこが今議論されてるんじゃ?

「政府はこれまで、これを憲法保有しているが行使しないとしてきました」
そうだっけ?? まあ自民党政権はそうかもしれんけど、異論が国内でたんまりあったはずと思うんだけどなァ・・・。

で、必要性とか聞くわけですね、政府の言い分にかなり一方的に傾いた前提条件を長々と聞かせといて。

4、行使容認への是非

これまたご丁寧な前置きがあります。
「政府与党・自公は集団的自衛権について、限定した15の事態を想定し、行使の是非を議論しています」
「限定した15の事態に 限 っ て 行使することに、賛成ですか反対ですか?」
・・・・・いや、今問題になってるのソコですか???

政府が上げている15事態ってのがそもそも、個別自衛権で十分だろって件か、又は想定に無理があり過ぎるだろって件ばかりで、現実的議論になってないとか。
或いは、その15事態で通した結果が、それ以外のことに拡大適用されても止める手立ての設定が何一つ無く、只の口約束に過ぎないとか。
だいいち与党内すら公明がソレに同意してるわけでも無いとか(これはいつでも日和りそうだけど)。
議論の中心課題と殆ど関係ないよね、設問と聞き方。わざと避けてるよね。

5、最後に支持政党と年齢性別を聞いて終了です。

なんちゅうか全般
「政府の言い分はこうこうです、それがもし正しかったとすれば賛成ですか」みたいな・・・。
それ最初から人に意見聞いてないよ。

設問もかなり酷かったんですが、この調査自体、一番肝心なことを全く聞いてません。そこが最も酷い。

集団的自衛権て、今どうして問題になってるんでしょうか。
特にリアルで必要が生じてるワケじゃないですよね、だから15事態とかラノベじみた妄想で遊んでる。
別に必然があるでもないのに、安倍総理解釈改憲の一環として勝手に言い出したから問題になってるわけです。
その手続きとか理念とか、そこ勝手に内閣で変更したら憲法骨抜きじゃね、とか、憲政の危機として認識されてるから問題になってるんです。

そう、憲政手続きや民主制維持の問題であって、これは別に安全保障の議論として発したワケでは無いんです。
で、そこが改憲派や保守の言論からさえ、重大な危機として非難されてるんですよ。
だのに、そういう政治課題たる性格を億尾にも出さない設問調査、こんなもの百害あって一利ナシ、としか。

私も聞いていいですか?

「保守改憲派ですら『憲政を危うくする愚挙』と非難する安倍内閣解釈改憲、それに基づく集団的自衛権議論について、貴方は賛成しますか」と。
安全保障問題と言うより、解釈改憲問題なのに。